in the place...

in the place...(現場で) また、いつか会う人のためにも、これから出会う人の為にも、そんな出逢ったときの話のネタにして欲しくて・・・。 全ては、in the place.現場で起きています。

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The another story of ...#12

それから、季節は流れていった。
気が付けば、あれだけ猛威を振るっていた夏は終わりを迎え、秋が訪れた。
食欲の秋。芸術の秋。僕の場合、昼寝の秋。

会社では、夏の終盤にかけて怒涛の激務ラッシュが押し寄せ、目の回るような忙しさとなった。
おかげでジャイアンとスネ夫に連絡もろくに取れないし、それどころかおちおち昼寝も出来なかった。

……しずかちゃんとは、あれっきりだった。
何度か電話をしてみたが、いつもコール音だけが僕を待っていた。
たぶん、嫌われてしまったのかもしれない。それも無理もない話だと思うが。

あの一件は、ジャイアンに相談してみたりもした。
ジャイアンからは怒られたが、それでも、僕に悪気がなかったことは分かってくれていた。
『一度謝り入れとけよ―――』
そう言われたが、電話にも出ない状態だと、いきなり家に行くのもマズイだろうから、結局謝ることは出来ていなかった。

今頃しずかちゃんは、何をしてるのだろうか……
出木杉と、仲良くしてるのだろうか……
不安に感じる夜が多くなった。

――そんな僕の支えは、ドラえもんからの手紙だった。

ドラえもんの手紙は、それからも定期的に届いていた。
相変わらず真新しい手紙が家に届いて来る。
夜中届いたり、家に帰ると届いてたり。
届く時間はまちまちだった。
そして不思議なことに、誰もドラえもんの姿を見ていないようだ。
あれだけ目立つ青いタヌ……もとい、青いロボットなら、誰かが見ててもいいと思うんだが……
いい加減出てきてもいい頃だと思うが、このまま手紙をくれるなら、いつかは会えるかもしれないと思っている。
こうして手紙が届くと言うことは、彼はどこかにいるということ。
焦ることはないだろう。

――そう言えば、あれから、少しだけ変わったことがある。

「――のび太くん!お待たせ!」

「ああ、咲子さん……」

咲子さんは笑顔で駆け寄って来る。とてもおめかししてる。今日は、彼女と食事に行くことになっていた。

変わったことというのが、僕と咲子さんが出かける回数が増えたことだ。
仕事帰りにご飯を食べたり、休みの日に買い物に行ったり……

ちなみに、あの日の答えはまだ出せていない。
でも、咲子さんは一度も催促をしてこない。ただ、僕を待っている。

僕は、そんな彼女に甘えているのかもしれない。
頭ではそんなことはダメだというのは分かっている。早く決めないといけないってのは分かってる。
……だけど……

「――のび太くん?のび太くん?」

「……え?」

「はぁ……またボーっとしてたのね……」

「ええと……えへへへ……」

「笑って誤魔化さない!……まったくもう……」

口では怒っていても、咲子さんはどこか楽しそうだ。

――今の関係が続けばいい

僕は、そんなことを考えている。とても卑怯な考えだろうな。……最低だな、僕は……

その日の商店街は、人の波がうねっていた。いつもよりも人が多い。
こうして見れば、もう大多数の人が秋物の服に衣替えしていた。確か、地方の山では天然スキー場もオープンしている。
これからどんどんと冬に変わっていくのだろう。

季節は巡る。ぐるぐると。ダラダラ昼寝してても、目まぐるしく忙しい毎日でも、時だけは一刻一刻と移り行くのだろう。そう考えたら、少しだけ、時間というモノもどこか神秘的に思えてくる。

「ずいぶん人が多いね」

「うん、そうだね」

「これだけ多いと、迷子になるかも」

「へ~……咲子さんでも迷子になる時があるんだね」

「私じゃなくて、のび太くんが」

「ぼ、僕が?」

「だってのび太くん、けっこうドジだからね」

「ひ、酷いよ~」

「ハハハ!ごめんごめん!」

彼女は笑いながら、くるくると僕の前で回る。
天真爛漫で、笑顔が絶えない彼女。少しだけ寒がりな彼女は、マフラーを首に巻く。彼女が動けば、赤いマフラーが風に流れていた。

本当に、彼女は可愛いと思う。本当に……

「あ、ちょっとこの店入っていい?」

「ここは……?」

街の片隅にある、アンティークな小物屋。中には色々なものがあった。
人形、絵画、置物……こういうものに、興味があるのだろうか……

「すぐ戻るからね。ちょっと店の前で待ってて!」

「うん。行っておいでよ」

「うん!」

そして、彼女は小走りで駆けて行った。そして、小さなベルの音を響かせ、店に入る。

彼女がいなくなった後、僕は目の前を通る人たちを眺めていた。
こうして見える人たちには、それぞれにそれぞれの人生がある。喜びがある。悲しみがある。悩みがある。
今、僕がこうして考えていることも、もしかしたら誰かが同じように考えているのかもしれない。
何が言いたいかというと……まあ、特に意味もない。
ただ、それだけ多くの人が、色々な形の道を歩いているということだ。そしてそれは、それぞれが自ら選んで来たものであるということだ。

……僕もそろそろ、自分の足で歩くべきだろうな。
いつまでも立ち止まることなく、一歩を踏み出すべきなんだろうな。

流れる人たちの群小を見つめて、そう思った。

――その時、気が付いた。
流れる人の中に、とても見慣れた二人組がいたことを……

(あれは……!!)

目を大きく見開く。人の波の中に紛れた彼と彼女。僕には気付いていないようだ。そして、僕の前を通る時、波が一瞬途切れる。

―――二人は、腕を組んでいた。その二人の表情は、とても幸せそうに笑っていた………

「―――しず―――」

――声が、出なかった。体が、心が、声を出すことを拒絶した。
そして二人は、再び人の波の中に消えていった。

時間にして、ほんのわずかな時間。ほんのわずかな時間、彼と彼女は僕に見せつけるようにその姿を見せた。

……これが、僕の行動の結果なのだろうか……
思わず、天を仰いだ。

「……ドラえもん、ごめん……」

そしてなぜか僕は、彼に謝る。

秋風が、体を通り抜ける。その風は、とても冷たかった。

「――お待たせのび太くん!」

「ああ……うん……」

「……ん?……んん??」

笑顔で店を出て来た彼女だったが、僕の顔を見た瞬間、僕の顔を下から覗き込み始めた。

「………」

「……な、なに?」

「……のび太くん……何かあった?」

「え――!?な、なんで!?」

「だって、のび太くん、落ち込んでる顔してるし」

「そ、そんなことないけど……」

「ふ~ん……」

咲子さんは、どこか腑に落ちない表情を浮かべる。もしかして、僕って顔にすぐ出るんだろうか……

「……まあいいや。ねえ、行こ!」

「え?あ、ちょっと――」

彼女は急に僕の手を掴み、商店街を走り始めた。たくさんの人の中を抜けていく。
商店街の中で、走っているのは僕達だけだった。すれ違う人は僕らに視線を送る。
それすらも掻い潜るように、僕らは走った。

僕らが走る方向は、あの二人が消えていった方向とは逆の方向……
腕を引っ張られながら、一度だけ、後ろを振り返る。

――当然だが、二人の姿は、どこにもなかった。

しばらく走った後、僕らは高台の、見晴らしのいい公園に辿り着いた。

「はあ……はあ……つ、疲れたね……」

「はあ……はあ……さ、咲子さんが……走るからだよ……」

二人揃って、肩で息をする。辺りは少し肌寒くなっていた。
それでも、体は熱を帯びる。彼女の額にも、ほんのりと汗が滲んでいた。

「……あ~、空気が気持ちいい……!!」

一足先に呼吸を整えた彼女は、空に向かって大きく体を伸ばす。
続いて、僕もようやく息を整えた。
そして二人並んで、公園から見える景色を見下ろした。

「……きれいだね……」

「……うん。きれいだ……」

時刻は昼と夜が交差する時間。
空を見れば、東の空は藍色に、西の空は茜色に染まっていた。そして二つの空の真ん中は、優柔不断な様子で、藍と茜が入り混じる。
星の光はまだ目立たない。それでも、空の片隅では、既に星々が煌めき始めていた。
街並みを見てみれば、ポツリ、ポツリと、徐々に明かりが灯りはじめていた。
遠くに見えるローカル線では、光の列車が線路を走る。街中では車のライトが列を作り、それぞれの帰るべきところへ向けて、光の筋を残していく。

……とても、幻想的な光景だった。

僕らはしばらく、その情景に目を奪われていた。
そして言葉すらも奪われ、街が夜に染まる様子を、ただ眺めていた。

「――あ、そうだ!」

突然、咲子さんは声を出し、ごそごそとバッグをあさり始める。
どうしたのかと見守る僕の目の前に、バッグから小さな小袋を取り出した。

「えっと……これは?」

「いいから!開けてみて?」

「……うん」

彼女に促されるまま中を開けてみる。その中には、小さな犬の置物があった。青い、ネクタイを付けた犬だった。

「これは?」

「フフフ……私のは、これ」

そう言って彼女が見せてきたのは、同じく犬の置物。こちらは赤い可愛いリボンが付いていた。

「それが、のび太くん。これが、私」

「ああ、そういうこと……」

「そうそう。――ねえ、取り替えっこしよ?」

「え?」

「いいからいいから!はい、私の」

「う、うん……」

「じゃあ、今度はのび太くんのをくれないかな?」

「うん。……はい」

「うん!ありがとう!」

そして僕らは、犬の置物を交換し合った。

「ええと……どうして取り替えたの?」

「……だって、こうすれば、いつもお互いを応援出来るでしょ?」

「応援?」

「そうそう。例えばのび太くんが落ち込んで家に帰ると、その置物が励ますの。頑張れー、頑張れーって。
逆に私が落ち込んでいるときは、のび太くんの置物が私を励ましてくれるの。
のび太くんはどうかは分からないけど、私はそれだけで元気になれるよ。いつも、のび太くんが見守ってくれてるって思えるし。
――だから、のび太くんも辛いときは思い出して欲しいな。いつも私が、応援してるってことを……」

「―――」

……その言葉は、彼の手紙と重なった。


―――僕はいつでも、キミを応援してるよ―――


そう思った瞬間、僕の目からは涙が溢れ出してきた。

「……ひぐ……ひぐ……」

「え――ッ!?ど、どうしたののび太くん!?」

彼女は慌てて、僕の体に触れる。
それでも僕の目からは、止めどなく涙が溢れ出ていた。
苦しいとき、辛いとき、僕はいつも彼の手紙の言葉を思い出していた。そして目の前の彼女は、今まさに、彼と同じ言葉を口にした。
それが本当に嬉しくて、暖かくて……心の奥からつま先まで、優しく包まれるような……そんな感覚だった。

「……」

彼女はただ、僕が泣き止むのを待っていた。僕はひとしきり泣いた後、ようやく落ち着きを取り戻した。

「……ご、ごめん……ありがとう……」

「う、うん……」

彼女は、未だ混乱していたようだ。

彼女が、とても愛おしく思えた。大切にしたいと思った。そして僕の口は、自然と動いていた。

「ねえ……咲子さん……」

「え?どうしたの?」


「――僕と、付き合ってほしい……」



はい。
お待たせしました。

この展開。
これで振られたら・・・。

訳ないよな
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