in the place...

in the place...(現場で) また、いつか会う人のためにも、これから出会う人の為にも、そんな出逢ったときの話のネタにして欲しくて・・・。 全ては、in the place.現場で起きています。

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The another story of ...#16

会社を後にした僕だったが、結局肝心の用件は終わっていなかった。
何しろしずかちゃんは不在だったわけだし。
出張からいつ帰るかも聞き忘れてしまっていた僕は、ただしずかちゃんからの返信を待つことにした。
ケータイを開けば、否が応でも気が付くだろう。

とぼとぼ歩いて家に帰っていたが、ふと、ケータイの着信がけたたましく鳴り始めた。
取り出して見てみれば、パネルには“花賀咲子”の名前が。

(なんだろ……)

気になった僕は、とりあえず電話に出ることにした。

「もしもし」

『もしもしのび太くん?今、電話大丈夫?』

「うん。大丈夫だけど……どうしたの?」

『ええとね……その……』

電話の向こうで、咲子さんは煮え切らない口調で何かを言おうとしていた。

(……?なんだろう……)

不思議に思っていると、電話口で深呼吸する音が。そして……

『……あのね、今晩、時間ある?』

「え?ああ、うん。時間あるよ」

『じゃあさ……ご飯、食べない?』

「食べに行くの?いいよ」

『そうじゃなくて!ええと……』

再び、モジモジモード突入。あまり急かすのも悪いから、黙って彼女の言葉を待つ。
しばらく待っていると、彼女はようやく、用件を伝えて来た。

『……私の家に、食べに来ない?』

「………へ?」

「こ、ここが……!!」

とある住宅街の一角にあるマンション……僕は、その前に立っていた。
さしずめ王様に褒美をもらう前の勇者か、はたまた魔王との戦いを目前に控えた勇者か……
どちらしても、僕は勇者という器ではないのだが。

それはいいとして、なぜか急に自宅に招かれることに。
彼女情報によると、実家は他所にあるらしく、現在はルームシェアをして住んでいるとか。
そして同居人が今日は仕事で遅くなるため、一人で食べるのも寂しいし、せっかくだから一緒にどう?的な話の流れとなったわけだ。

……ちなみに、それを理解するのに、数十分を要していた。極度の恥ずかしがり屋症候群に陥った彼女の言葉は、中々解読が困難なのだ。

「……さて、行くか……」

生唾を飲み込み、僕はその場所に侵攻した。

マンションはオートロック式であったため、エントランスにあるインターホンで彼女の部屋の番号を押す。

『――はぁい』

彼女の声だ。

「ええと……の、のび太だけど……」

『あ!い、いらっしゃい!ちょっと待ってね―――』

彼女の言葉に続き、自動ドアが開く。

『……いいよ。入ってきて』

「おじゃまします……」

まだ彼女の部屋についたわけではないのに、なぜかそう言ってしまった僕は、やはり緊張しているのだろうか。

何はともあれ、僕はついに彼女の部屋へと向かうことになったのだった。


(ここが、彼女の部屋……)

部屋の前に立ち尽くす。目の前に扉があるのに、凄まじく遠くに感じる。
どうやら僕は、相当緊張しているようだ。
それもそうだろう。しずかちゃん以外の部屋に入るのは、これが初めてだった。
ちなみに、しずかちゃんの部屋も、中学に入ってからは入ってはいない。
そう言う意味では、女性の部屋に入ること自体が、初めてと言えるのかもしれない。

おそるおそる呼び鈴を押す。

「――は、はい!ちょっと待って――!!」

中から玄関に、小走りする音が響いて来る。
そして……

「お待たせ!!」

ドアは内側から勢いよく開かれた!!
―――僕の顔にぶつかりながら……
少し、ドアに近付き過ぎていたようだ。

「ああ!ごめん!……大丈夫?」

悶絶する僕を心配する彼女に、とりあえず痛みに耐えて笑顔を見せた。

「……う、うん。大丈夫だよ」

「………」

彼女は、僕の顔を見つめる。

「……のび太くん……」

「え?な、なに?」

「――鼻血出てるよ!!」

「え?――――ああああ!!」

二人でギャーギャー騒ぎながら、すぐさま家に上がり込み、止血をした。

……初めて彼女の部屋に訪れた僕は、いきなり、鼻血の治療をすることになった。

(か、カッコ悪い……)


「……ホントにゴメンね……大丈夫?」

治療を終えた彼女は、申し訳なさそうに声を出す。

「いや、そもそも僕が悪いんだし。心配かけてゴメンね」

「ううん。大したケガじゃなくて本当に良かった……」

そう言って、彼女は胸を撫で下ろした。

そこでようやく、彼女の部屋を見渡してみる。
部屋は、実に女の子らしい部屋だった。家の至る所に、ぬいぐるみが置かれている。きちんと掃除も行き届いているし、散らかってる様子は一切ない。
部屋の中では、仄かに甘い香りが広がる。どうやったらこんな香りが充満するのか、ぜひ知りたいところだ。
その香りの中には、何やら不思議な香りが混じっていた。

「ん?この香り……」

「うん。もう料理出来てるよ」

そう嬉しそうに話すと、彼女は小走りでキッチンへと向かう。
そして皿を取り出し、よそおい始めた。

そのキッチンで、僕のためにいそいそと料理を作る彼女の姿を想像しただけで、なんだか幸せな気持ちになる。

「――お待たせ」

準備が終わったところで、彼女は少し恥ずかしそうにそう呟いた。

「こ、これは……!!」

目の前にテーブルには、所狭しと料理が並ぶ。どれもこれも美味しそうだ。美味しそうだが……!!

(す、凄まじい量だ……!!)

テーブルは中々広い。そこに隙間なく埋められた料理の数々。これは、何人分だろうか……

「いっぱい作ったから、たくさん食べていいよ!」

嬉しそうに話す彼女。嬉しいさ。それは嬉しいけど、ちょっと食べきれそうにはない。
それでも、彼女が一生懸命作ってくれたものだ。
僕は、残さず食べることを決意する。まさに、決死の覚悟だった。


まず先に、スープを一口すする。

「………」

「………どう?」

「うん!凄く美味しい!」

「ホント!?良かったぁ……」

スープはかなりの美味。だがしかし、見た目はコンソメスープなのに、味は全然違っているのはなぜだろうか。これぞ、咲子さん流ギャップ料理ということか。
以前作ってくれた雑炊もそんな感じだったしなぁ……まあ、普通にかなり美味しいから、細かいことは気にしないでおこう。

僕はとにかく、目の前の料理を食べ続けた。
あまりガッツくと引かれそうではあったから、普通のペースで食べる。

彼女も食べてはいたが、どちらかと言うと、食べる僕の姿を見ることが多かった。そして時折視線が合うと、幸せそうに微笑み。
その顔を見ると、思わず僕も笑みがこぼれていた。

……とはいえ、かなりきつくなってきた。
料理はまだ半分ほど残っている。正直、これだけ食べれただけでも大善戦だ。

(張り切って作ったんだろうなぁ……)

そう思うと、ますます残すわけにはいかない。
――時に男は、多少無理をしてでも、やらなければならないことがある。それが、男のアイデンティティー。

ペースは崩さず、とにかく食べ続けた。美味しいこともあり、食は中々進む。苦しさを我慢すれば。

しばらく食べたところで、彼女は感心するように声を出した。

「のび太くん、思ったよりも食べるんだね!残ったらタッパーに入れて持って帰ってもらおうって思ってたけど、その必要はなさそうだね」

(なぬっ!?タッパーとな!?)

……どうやら、食べ残ること前提の量だったようだ。
それを知った僕は、すぐさま白旗を上げた。

「……ご馳走様。とても美味しかったよ」

「そう言ってくれると嬉しいな。片付けまで手伝ってくれて、本当にありがとう」

二人で皿を洗いながら、そう話す。
食器洗いは彼女担当。拭いてしまう担当は僕。
共同作業により、片付けはスムーズに終えることが出来た。

食後は、彼女が用意してくれたコーヒーでティータイム。テーブルに座り、雑談を交わす。
僕らは色々なことを話した。職場のこと、休みの日のこと。会話は弾み、時間も忘れていた。

「――あ!もうこんな時間!」

「……ほんとだ。全然気が付かなかった」

時計の針は、間もなく日付が変わる時間となっていた。
彼女は、進む時計の秒針を、どこか名残惜しそうに見つめる。どうやら、もっと話したいようだった。

「……もう少し、話そうか」

「え?で、でも、遅くなっちゃうし……」

「少しくらいなら大丈夫だよ」

「……ありがとう。のび太くん、やっぱり優しいね……」

そう言うと、彼女は笑みを浮かべながら、コーヒーのカップを見つめた。



なんか、のび太がイケメンぽく見えてきた。
そろそろ、ベットインの時間ですかね?

つづく
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