in the place...

in the place...(現場で) また、いつか会う人のためにも、これから出会う人の為にも、そんな出逢ったときの話のネタにして欲しくて・・・。 全ては、in the place.現場で起きています。

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The another story of ...#20

~2時間前~

「――そっか……しずかちゃんと……」

「ああ。付き合ってたよ。最後には、こっぴどくフラれたけどね……」

そこは、街の角にあるバー。そこのカウンター席に、僕と出木杉は座っていた。

「しずかは、キミが好きなんだってよ。まったく、面白くもない話だけどね……」

ぼやくように呟くと、彼は目の前のウイスキーを飲みほした。

「……ごめん」

「なぜキミが謝るんだい?キミは、何も悪くないだろう。これはしずかの想いであって、僕が思ってるのは、単なる醜い嫉妬だけだよ」

出木杉は表情を落としたまま、そう呟く。

「……野比くん。しずかを幸せにしてやってほしい。それが、僕からの最初で最後のキミへの願いだ……」

「………」

「まったく、頭に来る話だよ。こっちは昔からの想いを、ようやく叶えたと思ったのにな……キミに、それを引き継ぐなんて……」


「出木杉……」

出木杉は、絞り出すようにそう話した。彼がそんなことを言ったのは、初めてのことだった。
彼は、心の底からしずかちゃんの幸せを願っていた。
恥を捨て、恋敵の僕に願ってまで、彼女の幸せを叶えようとした。

――それでも、僕はその願いを叶えることは出来ない。

「……出木杉、それは、無理なんだよ……」

「……何だって?」

「僕には今、付き合っている人がいる。……その人が、僕にとって、大切な人なんだ」

「―――――ッ!!」

出木杉は激高し、とっさに僕の胸ぐらを掴み上げた。

「……キミは!!何を言ってるんだ!!ずっと憧れてたんだろ!?ずっと好きだったんだろ!?
しずかも、ずっとキミを待ってたんだ!!キミが、想いを口にするのを……ずっと……!!」

出木杉の言葉は、心からの絶叫のように思えた。涙を目いっぱいに溜め、想いの全てを僕にぶつけていた。

そんな彼の瞳を、僕はを見続けた。

「……出木杉……でも、僕には出来ないんだよ。――出来ないんだ」

「………!!」

「………」

「……チッ!」

出木杉は、僕の目を睨み付けた後、投げ捨てるように手を離した。そして、荒々しくウイスキーをコップに注ぎ、飲み干す。

「……出木杉……」

「……不愉快だ……キミは本当に、不愉快だよ……!!」

「……出木杉、今から2時間後、街中の公園に来てほしい」

「……どうして僕が……」

「そこに行けば、全てが分かるさ。とにかく、来てほしい……」

「……分かったよ。行けば、いいんだろ―――」

「―――しずかちゃん。僕は、キミを幸せにすることは出来ないんだよ」

「………」

「でもね、そこに立っている彼は違う。自分の想いを断ち切ってまで……歯を食い縛ってまで、ただひたすらにキミの幸せを願ってるんだ。
――彼ならきっと、キミを幸せにしてくれると思う。……それは、僕が保証するさ」

「……のび太さん……」

一度彼女に微笑みを見せた後、僕は公園の出入り口に向かった。
そして、彼の横を通り過ぎる直前、脚を止める。

「……ということだ、出木杉……」

「………」

「これから、キミが手を差し出す番だ。僕に出来ないことを、キミがするんだ」

「……相変わらず、不愉快だね、キミは……」

「すまないな。――しずかちゃんを、幸せにしてやってほしい。それが僕からの、最初で最後のキミへの願いだ……」

「……そんなもの、言われるまでもないさ……」

「……ああ。頼んだよ……」

そして僕は、公園を立ち去る。少しだけ離れた後、一度公園を振り返ってみた。
そこには、仄かに周囲を照らす街灯の下、ブランコに座る彼女と、彼女を抱き締める彼の姿があった。

……これから、二人の物語が始まる。
そこに、僕の席はない。

二人の幸せを願って、僕は公園から離れていった。



次回、感動のラストか?
あの謎の手紙の真相が明らかに!
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